なぜ紙は白いのか
「なぜ一般的なテキストエディタをはじめ、デフォルトの背景が白いのか。」
背景に色のついたテキストエディタを使ってふと考えさせられる。
今でも小中学校では黒板を使い、暗い背景色のディスプレイが根強く支持されている。
スマートフォンが普及した21世紀が17年目となってなお、チョークと黒板なのか。
真っ先に思いつくのはコスト面である。
電子化されたディスプレイは確かに便利そうではあるが、おしなべて精密機器であるからして、耐久性においてアナログに劣る。
また、消耗品としてもチョークは、タッチペンやホワイトボード用のペンよりはるかに安い。ただ安いだけではなく、書こうとして書けない、といった心配もなく、一度や二度折れたとしても使用に支障をきたさない。
そして何より、夜空に星がきらめくがごとく、暗い中での明るい色は目立ちやすく、さらにチョークは一定の太めの線で書き続けることができる。
そして何より、強すぎる光が目に負担を与えるように、背景が明るい色であった場合は、光の当たり具合によっては見えにくくなるのではないだろうか。
当たり前になり過ぎたことで、疑問を持たなくなっていることが日常には数多くある。不便さばかり目につきがちな黒板であるが、存外に今でも一定の高い実用性を保っている。
見過ごされがちな長所に気づけたように感じられたのは、ひとつの収穫であった。
なお、紙が白いのは印刷の発色をよくするためであり、人工的に漂白しているからである。